フはフラグメンツのフ
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そのフェンスに、ぼくらは顔をぎゅっと押しつけ、爆風が温かくなるのを感じると、そのフェンスにじっとかじりついたまま、自分たちがどこのだれそれだということなど忘れ、ひょっとしたら自分だってあんな人物になれるかもしれないとか、あんなところへ行けるかもしれないとか、そんなあこがれにふけったものだった……。
それでもぼくらは男の子で、男の子だということが気に入っていたし、フロリダのある町に住んでいて、その町も好きだったし、学校にかよっていて、その学校もかなり好きだったし、木登りやフットボールをやり、お母さんやお父さんが好きだったものだ……。
でも、毎週、あるきまった時間には、いつも、ほんのしばらくのあいだでも、ぼくらは、火や星のことや、彼らが待っているあのフェンスの向こうのことを考えたものだ……ぼくらは宇宙船のほうがもっと好きだった。
(「ウ」は宇宙船の略号さ」より)